高校では落ちこぼれていたので、ずっと放課後を共にしてた友人たちはみんな浪人をして、ストレートで大学に行ったのは僕だけでした。
もちろん大学でも友達は出来ましたが、それでも心細い思いをすることも何度かありました。
今でこそ東京での一人暮らしには慣れましたが、それでも地元恋しさに季節に一回は福岡に帰っていました。
自分では忘れていないつもりでも、やっぱり覚えていることよりも忘れていることのほうが多いんだと思います。もちろん、言われれば思い出すことはできます。あーあったねーそんなもの、って。でも例えば、この通りのポストってどこだっけとか、あそこの信号は待つ信号だったかなとか、そんな些細なことから順繰りに忘れていきます。そうやって人間として新しいものを覚えていくんだろうな、って思います。
一月ほど帰省していたのですが、お恥ずかしい話、地元のゴミ収集車は「赤とんぼ」のオルゴールを流しながらやってくることを忘れていました。練馬のゴミ収集車は、音もなくやってくる。
もちろんゴミ収集車の音なんて、とるに足らないものです。でも、とるに足らないからこそ、誰よりもそういうものを覚えていたいなと思います。何事にしたって、忘れるより覚えておいたほうがいいでしょう。過去の苦い恋愛だって、その日は忘れたいと思ったって、何年か経って眠れない夜に思い出したりすると、なんとなく懐かしい気持ちの中で眠れるものです。
とるに足らないものを大事にして生きていきたいですね。
そんなわけで、こんなとるに足らないような人間がとるに足らないブログを書いているわけですが、今年度も一年間みなさんお世話になりました。みなさまの素敵な「とるに足らない」ような出会いをお祈りしております。来年度もどうぞよろしく。